こんにちは、平林です。今日、4月2日は世界自閉症啓発デーですね。自閉症啓発デーに何を書こうか、そうだ視覚的なコミュニケーション支援について書こうということで、今日のテーマは「視覚支援」。
もくじ
自閉症と情報のアクセス
自閉症のある子どもの中には、音声言語でのコミュニケーションがうまくいかず、外界から情報を得にくかったり、自分の気持ちや考えを伝えにくかったりする子がいます。
「音声で話してほしい」「言葉で伝え合えればいいのに…」ーー音声言語が当たり前の社会の中で育ってきた大人は当たり前のように音声で伝えようとしてしまい、本人はずっと戸惑いや混乱の中で生活している、自閉症の子どもとその周りの大人が置かれているのはそんな状況だと思います。
視覚支援(視覚コミュニケーション支援)とは何か
そのようなとき、視覚支援と呼ばれる方法が力を発揮します。視覚支援とは、音声ではなく「見える形」で情報を伝え合う方法の総称です。
具体的には、動画・写真・イラスト・シンボル・文字・実物やパッケージなど、さまざまな媒体が使われます。音声言語に頼らなくても、「今日は公園」「お昼はカレー」「次はお風呂」といった情報を、見て理解できる形で共有できます。
大事なのは、これが一夜にしてできるものではないということです。音声言語を少しずつ学ぶように、視覚情報のやりとりも、お互いにトライアルアンドエラーを重ねながら、地道に「共通言語」を育てていくプロセスが必要です。
視覚支援で「何を」伝えるか——「拒否」の大切さ
視覚支援を考えるとき、ツールや手段よりも先に問いたいこと、それは、「何を」伝え合うのか、です。
コミュニケーションとは、本来双方向のものです。ところが、視覚支援がただ「大人が指示を出す手段」になってしまうと、子どもはそれに従うだけの存在になってしまいます。それは支援ではなく、一方的な管理——ときに虐待にすら近づく構造です。
だからこそ、まず大切なのは、「これは嫌だ」という拒否が伝えられることです。「NO」を表現できること。それが、視覚支援の出発点であるべきだと思います。
権力の格差と、子どものNOを受け取ること
大人と子どもの間には、大きな権力の格差があります。子どもは自由に外出できないし、自分でご飯を作って食べることもできません。その格差の中で、子どものNOをきちんと受け取ること——それは当たり前のようで、実はとても難しく、また重要なことです。
子どものNOを受け取り、世界の仕組みを伝え、一緒に毎日を楽しく過ごす。そのための視覚支援である必要があると、私は考えています。
おめめどう——視覚支援を日常に届けるために
視覚支援を「当たり前に使えるもの」として、全国の家庭や支援現場に届けようと22年間活動を続けてきた会社があります。株式会社おめめどうです。
おめめどうは、代表の奥平綾子さんが自閉症のある次男との暮らしの中で培ってきたコミュニケーション哲学を、巻物カレンダー®やコミュメモ®などの具体的な道具に落とし込み、セミナーとセットで全国に届けています。
その哲学の核心は「前提の可視化」です——時間の流れを共有する、理由を必ず説明する、主語を明確にする。音声言語に頼らないコミュニケーションの原則は、自閉症のある人だけでなく、あらゆる人間関係に通じる普遍的な知恵です。
おめめどうの活動を知り、視覚情報で伝えることの具体的なやり方を多くの人が実践すれば、自閉症の子どもを育てる保護者が、もっとのびのびと子育てできるはずです。
▶ おめめどうWebサイト:https://omemedo.ocnk.net
ドロップレットプロジェクト——視覚支援シンボルを無償で提供
ドロップレットプロジェクトは、AAC(拡大・代替コミュニケーション)で活用される視覚支援のシンボル(絵記号)を無償で提供している取り組みです。学校・療育・家庭でシンボルを使うことができ、視覚支援の実践を手軽に始めることができます。
▶ ドロップレットプロジェクト:https://droptalk.net/
PECS(絵カード交換式コミュニケーション・システム)
視覚支援のアプローチのひとつに、PECS(Picture Exchange Communication System/絵カード交換式コミュニケーション・システム)があります。1994年にアメリカで開発された、行動分析学に基づく手法です。
PECSの特徴は、子どもが主体的に絵カードを相手に手渡すことで「自発的なコミュニケーション」を育てる点にあります。大人が指示するのではなく、子ども自身が意思を伝える力を引き出すアプローチです。視覚支援の中でも、子どものコミュニケーションへの意欲を引き出すことを重視した手法として知られています。
▶ PECS Japan:https://pecs-japan.com/
【セミナー告知】4月19日(日)奥平綾子さんをお招きしたトークセッション
この世界自閉症啓発デー関連企画として、学びプラネットの月一セミナーにおめめどう代表の奥平綾子さんをお迎えします!
母子分離の重要性〜おめめどうを作り・視覚支援を全国に広げる奥平綾子さんのお話
- 日時:2026年4月19日(日)10:00〜12:00
- 形式:オンライン(Zoom)
- 参加費:3,500円(録画アーカイブ付き)
- 主催:学びプラネット合同会社
「分かり合うこと」を道具と手順で再構築する——。今回のテーマは「母子分離」。良かれと思って先回りし、勝手に決めてしまう「エスパー」をやめること。自分のお金を自分で管理し、スケジュールを見ながら生活する「構造化された自由」のこと。奥平さんが積み上げてきた実践には、子どもの自立を支えるためのヒントが詰まっています。
ファシリテーターは、東京大学バリアフリー教育開発研究センター特任教授の飯野由里子さんです。
※お申し込みいただいた方全員に当日のZoom URLおよびアーカイブ配信のURLを共有します。リアルタイムの参加が難しい場合もご覧いただけます。
※まなプラキッズプログラムのメンバーの方は月会費に参加費が含まれます。学びプラネット事務局より無料クーポンをお渡しします。
▶ お申し込みはこちら:https://boshibunri0419.peatix.com/
