GIGAスクールで学校に入ったChromebook(タブレット)を、読み書きに困難のある子どもの「学びの道具」にするために、ブラウザだけで動く無料のウェブアプリを4つ作りました。この記事では、4つのアプリの全体像と、それぞれの使い方を紹介します。
4つのアプリはすべて、無料・インストール不要・アカウント登録不要です。学校の管理されたChromebookでも、ブラウザでURLを開くだけで使えます。
4つのアプリの全体像(アプリマップ)
「だれが・何のために使うか」で整理すると、次のようになります。横軸が「読み」と「書き」、縦軸が「子どもが使う」と「教員・支援者が使う」です。
「読む」を支える2つ — スキャンした教材が、読み上げできるようになる
読む支援の2つは、ステップ1→ステップ2の流れで一緒に使います。先生や支援者が教材を作り、子どもがそれを読む、という役割分担です。
ステップ1:ピタッとレンズ(OCR・教材づくり)
https://pitatto-lens.netlify.app
スキャンしたPDFや写真から、検索・読み上げができる「透明テキスト付きPDF」を作るアプリです。
- 文字認識がすべてブラウザの中で完結します。教材や子どもの情報が外部のサーバーに送られないので、学校でも安心して使えます。
- 縦書きに対応しています(国立国会図書館の技術を利用)。横書き・英語ももちろん読み取れます。
- 認識結果はその場で直せます。間違っていそうな場所には警告マークが付くので、確認する場所がわかります。

活用アイデア:漢字の読み問題や英語の発音・アクセント問題のように「読み上げたら答えになってしまう」部分は、認識結果の編集でその文字を消しておくと、そこだけ読み上げないPDFが作れます。テストや課題への配慮に使えます。
ステップ2:とんとんリーダー(読み上げ)
https://tonton-reader.netlify.app
ピタッとレンズで作ったPDFを開き、読みたい行をタップすると、そこから読み上げるアプリです。
- 「今どこを読んでいるか」が行の色でわかります。画面の下には読み上げ中の文が表示され、読んでいる言葉がハイライトされます。
- 縦書きの読み順(右から左)に対応しています。
- 難しい設定はありません。子どもの操作は「開く・タップ」だけです。

「書く」を支える2つ — ローマ字入力の前に、書ける
ローマ字を学ぶのは3年生。1・2年生や、読み書きに困難がありローマ字入力が難しい子も、「書きたいことがある」ことに変わりはありません。iPadなら50音配列のキーボードが選べますが、Chromebookにはその選択肢がなかったので、ブラウザで動くものを作りました。

ひらがなキーボード
https://hiragana-keyboard.netlify.app
- 50音の並びのまま、画面をタップして入力します。濁点や小さい字の入れ方はiPadと同じ操作なので、子どもが混乱しません。
- 書いた文章は自動保存されます。タブを閉じてしまっても作文が消えません。
- 読み上げボタンで、自分の書いた文を耳で確かめられます。音声入力は、🎤をもう一度押すまで聞き続けるので、言葉がすぐに出てこなくても大丈夫です。
- 書いた文章はコピーして、Googleドキュメントなどに貼り付けて使います。
ひらがなキッズキーボード
https://hiragana-kids-keyboard.netlify.app
漢字がまだ読めない子のための、ひらがな中心のキーボードです。
- 音声入力をしても漢字にならず、ぜんぶひらがなで入ります。「読めない字が出てきて困る」ことがありません。
- あとから言葉を選ぶと候補が出て、漢字やカタカナに変えていくことができます。学年に合わせて、少しずつ漢字を増やせます。
便利な開き方(2つのキーボード共通)
- アプリとしてインストール(PWA対応):Chromeのアドレスバー右端のインストールアイコンから追加すると、シェルフ(画面下のバー)のアイコンから1タップで起動できます。インストールしなくても、ブラウザでそのまま使えます。
- 小さな窓で開く:hiragana-keyboard.netlify.app/open.html のボタンを押すと、画面下に最適な大きさの小さな窓でキーボードが開き、ドキュメントなどの横に置いて画面キーボードのように使えます(キッズ版はこちら)。
4つのアプリに共通する特長
- 無料で使えます。
- インストール不要(管理されたGIGA端末のブラウザでそのまま動きます)。
- アカウント登録は不要です。
- 入力内容・教材を外部に送らない設計です(ピタッとレンズは文字認識もブラウザ内で行い、キーボードの文章は端末内に保存されます。アクセス解析は回数のみ・Cookieなし)。
クレジット
ピタッとレンズは、橋本雄太氏(国立歴史民俗博物館、国立国会図書館 非常勤調査員)の NDLOCR-Lite Web(CC BY 4.0)を改変したものです。OCRエンジンには、国立国会図書館(NDL Lab)が開発した NDLOCR-Lite のモデルを使用しています。
とんとんリーダーは、NaturalReader にインスパイアされ、日本語の縦書きに対応するために作りました。