快適な読書環境の作り方〜Voice Dream Readerで本を音声で読み上げる

VoiceDreamReaderで整う快適な読書環境

平林です。2023年もよろしくお願いします。今日は快適な読書環境の作り方についてです。

先日,読書環境について友人から相談を受けました。もともと読書家で趣味としても仕事上でもたくさんの本を読んできたけれど,最近,暗いところで本を読むことができないので,なかなか読書に時間がとりにくくて困っているというのです。日中は太陽の光の入る明るい部屋では,問題なく紙の本が読めるのだけれど,暗くなってくると文字が見にくくなり,行を追って読みにくい。夜の読書はKindleなどの電子書籍を活用してタブレット上で読むと,少しマシになるけれどやはり目だけで本を読むのが難しい。Kindleの音声読み上げは使っているけれどiPadの画面読み上げで読むとどこを読んでいるかはハイライトされないので,音だけだと見失ってしまう。さらに,読みたい本がすべてKindleで手に入るわけではない。もう少し良い方法はないかという相談でした。

前提としてiPadの画面読み上げなどの読み上げをご存じない方はまず,以下のYoutubeをご覧ください。

友人はもともと大量の書籍を所有しており,大量の書籍は保管場所が必要になることから紙の本を裁断してPDF化するということをしていました。そして,書籍をスキャンする際にはこの業界でよく使われているScanSnapを使っていたので,自動で文字認識(OCR)処理がされていました。

PDF化された書籍にOCRがかかっているかを確認する方法は,パソコンやタブレットでそのファイルを開き,文字の部分を選択しようとしてみることです。選択できればOCRがかかっています。

※本の裁断,スキャン(+OCR)については,インターネット上にさまざまな情報がありますので調べてみてください。参考製品を以下に示しておきます。

快適に読み上げたい(音声読み上げの質は良いものがよい,読んでいるところをハイライトしてほしい)という要望をかなえるために,わたしは以下のような提案をしました。

快適に書籍を読み上げるための提案

Voice Dream ReaderというPDFを読み上げるアプリを購入し,そのアプリ内で追加の音声Misakiを購入して使うこと

Voice Dream ReaderはiPadによる読み支援においてかなり初期から使われてきたアプリです。現在4800円なのでやや高めかなという印象を持つかもしれませんが,パソコンで音声読み上げのソフトを数万円で購入していた時代から考えるとものすごく低価格になっているといえます。良質な読み上げ音声Misakiが800円で追加購入できるのも大きなメリットです。

Voice Dream
 Reader
Voice Dream Reader

Voice Dream Reader (iOS,4800円)

ダウンロード

PDF文書を音声で読み上げることができるアプリ

読み上げる部分はハイライトされる

読み上げる音声エンジンをアプリ内課金として追加購入することができる

OCRがかかっていない文書にはこのアプリであとからOCRをかけることができる

基本の使い方

Voice Dream Readerでは,PDFファイルで読み上げてほしいところをダブルタップするとそこから読み上げが開始されます。

音声の追加

音声の追加は右上のところから行えます。Misakiはとても精度の高い優秀な読み上げエンジンです。ぜひ使ってみましょう。

ハイライト

読み上げの際は,読み上げる範囲を黄色い線で囲み,ハイライトしながら読み上げます。このときの色の変更もできます。

クラウドとの連携

Dropboxなどのクラウドストレージとの連携ができるので,パソコンに入れておいたPDFファイルを読み込むことができます。

便利ですね。やはり有料のアプリできちんとよい機能が維持されつつ改善もされていくことの見本のようなアプリです。

友人はVoice Dream Readerを使い始めた結果,以前より読書がしやすくなり,夜の読書ができるようになったそうです。よかった!

いろいろなタイプの書籍でVoice Dream Readerを使ってみると,いくつか問題も見えてきました。まず,ScanSnapでスキャンして自動でOCRをかけたので,日本語の縦書きの本は,OCR処理が不十分なものがありました。

例えば,以下の例では,縦で認識されてはいるのですが,1文字ずつ分かれてしまっているために読み上げが不自然になってしまいました。熟語の読みなどがうまくいきません。

友人がいろいろ試行錯誤した結果,Voice Dream Readerの中にOCR機能があるということがわかりました。Voice Dream ReaderでOCRをかけてみると,少し読み上げが自然に改善されたそうです。

アプリ内OCR

VoiceDreamReaderに取り込んだPDFにあとからOCRをかけることができます。ScanSnapの自動OCRではうまく認識されていない場合などに試してみるとよいでしょう。

OCRの比較

左側のScanSnap内蔵エンジンによる自動OCRでは縦書きが1文字ずつに分割されています。VoiceDreamReaderでOCRをかけなおすと,行として認識されるようになり、読み上げの精度が少し改善します。

紙の本が読みにくいため読書環境の調整が必要になるのは,読むのが苦手な人ばかりではありません。加齢にともなって暗いところで本が読みにくくなるということは多くの人に起こりますし,家事や子育てがあるので座ってじっくり本を読む時間がなく何か作業をしながら本を読みたいというニーズも多くの人がもっているのではないでしょうか。

今回紹介した方法は,以下のような人に便利な方法です。音声読み上げでがっつり本を読みたいやや玄人さん向けの方法ですが,読書サポーターの方にはぜひ知っておいていただきたいです。

  • Kindleなどの電子書籍は知っているけれどKindleにはない紙の本を音声読み上げで読みたい
  • 快適に読み上げたい(音声読み上げの質は良いものがよい,読んでいるところをハイライトしてほしい)
  • 快適に読み上げるためなら本を裁断することもいとわない
  • 快適に読み上げるためなら専用のスキャナを購入することもいとわない
  • 快適に読み上げるためなら有料のアプリを購入してもよい

ざっくり方法をおさらいしておきます。

書籍の裁断

書籍の背表紙のところをバッサリカットして本をバラバラにしてください。ちまたには,本の裁断機というものが売られていますので,読書サポートが仕事の一部であるという方は裁断機の購入を検討するのもよいかもしれません。裁断機まではちょっとという方は,カッターで切るか,本の裁断サービスを活用しましょう。

スキャンしてOCR(文字認識)をかける

ScanSnapではスキャンするときに設定で「検索可能なPDFにします」にチェックをつけると自動で文字認識がされます。ScanSnapでスキャンできなくてもVoiceDreamReaderのアプリ内でOCRもかけられますので,それでもいいですね。

作成したPDFファイルをiPadに送り,Voice Dreamで読みあげる

やってみましょう!クラウドストレージを使っていない場合には,自分のiPadのメールアドレス宛にPDFファイルを添付したメールを送ってください。添付ファイルを開いて,それをVoiceDreamReaderでさらにひらけばOKです。

今回はもともと読書が好きだけれど紙の本が読みにくくなってきた人のための情報をまとめておこうと思い,記事をかいてみました。ブログだけではよくわからないという人のためにYoutubeの動画にもしようと思いますので,お楽しみに。

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