OCR技術の発展がすごい

読むのが苦手な子におすすめしたい2つのツール

こんにちは,平林です。8月のはじめに発熱し,新型コロナウイルスに感染していることがわかりました。幸い軽症で,自宅療養中です。3回目のワクチンは接種しているものの,もう抗体がなくなってしまっていたところに出張をして油断しました。北海道出張はキャンセルで残念。元気になったけれど外には出られない。というわけで,時間ができたので最近すごいと思った機器についての記事を書こうと思います。

コロナにかかって自宅療養する中で,何度か自分が得ているこの情報にアクセスしにくい人がいるだろうなと感じる場面がいくつかありました。抗原検査のやり方・結果の見方,陽性になった場合の手続き,処方された薬の情報,ウェブから得られる情報もありますが,紙中心のものもたくさんありました。

画像から文字を抽出する技術のことをOCRといいます。文字を読むのが苦手な子どもたちはプリントが苦手です。プリントに書いてある文字は読みにくい・漢字がわからないなどいろいろな理由があります。

紙がダメならデジタルにしよう。画像から文字情報を取り出せば音声で読み上げることができる。これまでいろいろなアプリケーションや機器を使って,プリントの画像をOCRにかけて音声で読み上げさせるという方法を試みてきました。

プリントの文字をOCRで取り出す方法

パソコンにスキャナを繋げてスキャンして文字認識ソフトにかける

OCRアプリで文字を読み取ってそのまま読み上げさせる

iPadのスキャナアプリでプリントをスキャンして画像にしてOCR機能のあるアプリに読み込ませる …etc

このような方法でプリントに書かれた文字を音声化することは実現できます。でも,この方法を小学校3・4年生の年齢から子どもが自分でできるかといえばなかなか難しいのが実情でした。OCRを使う方法を子どもに紹介し,一緒に取り組むのですが,次に会った時にそれを家に帰って自分の勉強に活かしているかを聞いても,多くの子どもは使っていませんでした。手順が多く手間がかかりすぎるのです。

OCRは画像内の文字がくっきりきれいに撮れていないと文字認識の精度が下がってしまうというのもOCR活用が難しいの要因の一つです。

何年も新しい製品を試してきましたがなかなか難しいので最近ではOCRを子どもに紹介することを半ば諦めていました。そんなある日,長く交流のあるディスレクシアのある高校生に「これいいですよ」と二つの情報を教えてもらいました。それが,

①ペン型スキャナー辞書「NazoritAI Pro」

②Googleレンズ(iPadではGoogleアプリの検索バーから起動できる)

の二つです。順番に見ていきましょう。

ペン型スキャナー辞書「NazoritAI Pro」

株式会社サインウェーブから発売されているペン型スキャナー辞書「NazoritAI Pro」は,なぞった文字を音声で読み上げる,英語に翻訳する,単語の意味を表示させることのできる製品です。

ペン型スキャナー辞書「NazoritAI Pro」 

価格:29,700円(税込)

対応言語:日本語,英語

ペン型スキャナーは以前から存在していて正直なところ精度が悪かったり,英語の読み上げのみで日本語部分は読み上げなかったりしていたので,あまり期待はしていなかったのですが,彼が言うなら便利なのだろうと取り寄せました。

届いて使ってみて,びっくり。彼の言うことは正しい。自分の固定観念を反省しました。これはいいです。日本語も英語もきちんと読み取ることができ,きちんと音声で読み上げてくれます。反応が早く,ストレスなく使えます。読み取りの角度などを厳密に調整しなくてもかなりの精度で読み取るので,年齢が小さい子どもでも使えます。

すごい。みんなに知ってほしい。

早速,読むのが苦手で学校のカラーテストは保護者の方が音声をKeynoteに吹き込んで作成しているご家庭に紹介したらとても驚き喜んで,本人が「お母さん,買って!」とお願いして,即買いしてもらっていました。その価値がある製品です。

Bluetoothのイヤホンに対応しているところも気が利いています。

NazoritaiAI for School という画面が小さくて価格が1万円安いタイプもありますが,私は文をスキャンして読み上げる用途として使いたいので,Nazoritai Proを購入して使っています。

NazoritAI Proの説明動画

Googleレンズ(iPadではGoogleアプリの検索バーから起動できる)

Googleレンズはカメラで撮影した画像などから文字を抽出し,検索,テキストを読み上げ,翻訳などをしてくれるGoogleのサービズです。Googleレンズの特徴はその高い認識率にあります。通常,紙のテストなどはOCR処理をした後に認識結果の間違いを確認して修正する必要があります。ところがGoogleレンズは使いはじめた人たちから「これなら修正できない時も実用可能」との声が聞かれるくらい高精度です。 これまでのOCRのイメージを塗り替えてくれる凄さだと思います。

GoogleレンズはGoogleサービスの中で動くOCR機能なので少し分かりにくいのですがiPadで使うには「Google」アプリをインストールすれば使えます。検索窓の右端にカメラマークが表示されているので,そこから起動しましょう。

Androidでは単体のアプリがありますが,アプリなしでも標準のカメラ機能に埋め込まれており撮影した写真を表示させるとメニューにGoogleレンズの機能が表示されます。パソコンではインターネットブラウザのGoogle Chromeを使うことでGoogleレンズの機能が使えます。通常,ウェブブラウザ上の画像は文字を含んでいてもそれを選択したり読み上げたりすることはできません。Google Chromeであれば画像を右クリックし,メニューから「Googleレンズで画像を検索」を選ぶことで起動します。

GoogleレンズはOCRの精度も凄いのですが,面白い機能がたくさんあります。

例えば,認識した文字情報を多言語に翻訳することや,そのまま検索して調べたりショッピングサイトの情報にアクセスしたりすることができます。物の写真を撮ると,それと同じ見た目のものを調べて探してくれるので,製品の型番などを入力しなくてもマニュアルなどの情報を得ることができます。

百聞は一見に如かず,動画にしてみました。

固定観念にとらわれず,新しいものを試してみる姿勢を持ち続けることはとても難しいと感じます。そんなときには,若者の力を借りましょう。若者に教えてもらうことで自分の情報がアップデートされ,固定観念を崩してくれます。

新しいOCR,ぜひ試してみてください。

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