こんにちは、平林です。本日(2026/07/24)新しい無料ウェブアプリ「かみなりノート」を公開しました。紙のプリントをスキャンしたPDFに、キーボードで答えを書き込めるノートアプリです。
https://kaminari-note.netlify.app
じつはこのアプリ、思い立ってから公開まで4日で制作しました(もちろんAIとともに)。しかも公開したその日に名前を変えるという事件つきです。前半はこのウェブアプリの紹介、後半はその4日間の開発について書きます。
どんな子のためのアプリ?
- 手書きよりも、タイピングの方が書きやすい。
- ワークシートへの書き込みに時間がかかる。マスからはみ出してしまう。
- ノートを書くのが苦手で、板書を写すのが追いつかない。
読み書きに困難のある子の中には、鉛筆で書くことは大変でも、キーボードでなら考えていることをすらすら書き出せる子がいます。ところが学校のプリントやワークブックは紙のまま。「手書き」に限定されていることで、子どもが大きな壁にぶちあたってしまうのを、これまでたくさん見てきました。iOSやアンドロイドであれば、「GoodNotes」というすばらしいアプリがあり、教育機関にも無償提供されているので、家庭の端末には有料アプリを入れることを推奨し、紹介してきました。
Chromebookには「ギャラリー」という標準アプリがあり、PDFに文字を入力できます。ただ、ギャラリーはノートにはなりません。PDFの上に写真が入れられないからです。
Windowsだと「OneNote」というこれまたすばらしいアプリがあるのですが、OneNoteはPDFにサクサク書き込めるかというとそうではありません。できなくはないのですが、ちょっとイライラするような操作感なのと、OneNoteはA4ぴったりには印刷できないのがネックです。
加えて、ChromebookのギャラリーもWindowsのOneNoteも、日本生まれではないので縦書きが苦手です。縦書きのテキストボックスが入れられないので、国語のワークで使おうと思うと、横書きするしかありませんでした。
かみなりノートは、こうした課題を解決し、「手書き」のバリアを小さくするためのアプリです。
使い方は3ステップ
- スキャンしたPDFを 開く——紙のプリントを、ご家庭のプリンタ複合機やスマホのスキャンアプリでPDFにして読み込みます。
- タイピングで 書きこむ——答えやメモをキーボードで入力。国語などの縦書きの教材には、縦書きで入力できます。
- PDFに 書き出し・印刷——書き込んだ状態のままPDFにして提出したり、印刷して紙で提出したりできます。

ノートとして使うために白紙・罫線・ドット・格子の紙が入れられて、写真や図形も貼れます。板書をカメラで撮って貼り、ポイントをタイピングでメモするという授業ノートの使い方ができます。自動保存でタブ表示できるので、複数のノートを行ったり来たりするのも簡単。GoodNotesとOneNoteのよいところを取り込んで、アップデートしたのが「かみなりノート」!(自画自賛)
アプリを開くと「サンプルでためす」というボタンがあります。押すと連絡帳のサンプルプリントがすぐ開くので、PDFを用意しなくても書き込みの感覚を試せます。まずはここから触ってみてください。
まだバグはあるかもしれないので、見つけたら教えてください。直せるものは直します。
ここからは開発の裏話
手書きが苦手なんだから、手書きの書き味にはこだわらない
始まりは先ほど共有したような、これまで感じてきた課題でした。iPadにはよいアプリがあり、よい環境が作れるのに、GIGAスクールで一番多く配られたChromebookやWindowsではかゆいところに手が届かない。それなら作ってみようと生成AI(Claude Code)に相談したのが2026年7月21日の夜です。
最初、Claudeとのやり取りの中で大きな決断をしました。手書き文字は、快適に書けなくていい。AI曰く、手書きノートアプリの命は「書き味」とのことで、それを追いかけると開発の難易度が桁違いに上がるのだそうです。でも、わたしが作りたいのは、手書きで文字を書くためのアプリではなく、さくさくタイピングで入力するためのアプリです。タイピングでの入力に絞った結果、その夜のうちに、動くものができました。
4日間で24回の更新
そこからは、わたしが実際のChromebookで使ってみて気づいたことを伝えると、数分後には直った版が届く、という往復の連続でした。「投げ縄でテキストがつかめない」「文字の色は黒が基本でしょう」「太さのバーが文字サイズと紛らわしい」——こうした細かい指摘が15回。バージョンは4日間で24回更新されました。一番多い日は1日で17回だったそうです(AIが数えてくれました)。
今回のアプリ開発をAIに分析してもらったところ、4日という短い期間で開発できた要因は、わたしとAIとの役割分担がはっきりしていたことにあるそうです。企画と仕様の決定、そして実機で使って確かめるのが私。設計とプログラミングと自動テストがAI。私はコードを1行も書いていませんが、「どんな子が・どんな場面で・何につまずくか」はよくわかりあす。逆に言うと、そこさえ決められれば、道具はもう作れる時代になったのだと思います。
公開当日に、名前を変えた話
アプリは別の名前で7月24日の朝に公開しました。ところがその日、広く紹介する前に権利関係を確認しようと商標を調べたところ、同じ読みの商標が、教育分野ですでに登録されていることがわかりました。区分が違うので直ちに問題というわけではないのですが、同じ小学校の先生や子どもたちが使うものなので、紛らわしいのは避けようと思いました。
その日のうちに名前を決め直し、アプリ・URL・チラシまで一括で切り替えました。AIに頼んで全部やってもらいました。名前を決めたら、広める前に商標を調べる。J-PlatPatという特許庁のデータベースで、誰でも無料で調べられますのでアプリを自作する方に、おすすめします。あ、これもAIがやってくれます。
「かみなりノート」の由来
新しい名前の由来は、テーマカラーです。このアプリのテーマカラーは、並べたときに他のアプリ(ピタッとレンズの緑、とんとんリーダーのオレンジ、ひらがなキーボードの水色)と見分けやすいように選んだマスタード色。黄色といえば、雷。それで「かみなりノート」です。アイコンには、ノートに稲妻が走っています。⚡アプリのテーマカラーに悩んでいて、AIにいろいろな色を出してもらい、黄色をみた時に、某有名鬼退治漫画の黄色いキャラクターが頭に浮かびました。電光石火のごとく、入力できたらいいなと思い、この名前にしました。わたしがつくるアプリの名前はあまり格好よくはないかもしれないけれど、子どもたちがおぼえやすいものがいいなと思って、名前を考えています。
対応環境と、データの扱いについて
- 対応:Chromebook・Windows・Mac(Chromeブラウザ)。GIGA端末のChromebookでそのまま動きます。
- 非対応:iPhone・iPad・Android(タブレットでは、その端末にあったノートアプリのご利用をおすすめします)。
- 無料・インストール不要・アカウント登録不要。URLを開くだけで使えます。
- 書いた内容は端末の中にだけ保存され、外部には送信されません。同じパソコン・同じブラウザ(同じプロファイル)で開くと続きが使えます。逆に言うと、別の端末には引き継がれない点にご注意ください。
利用条件
教育目的で自由にお使いいただけます。学校・家庭・支援の現場で、URLの共有もご自由にどうぞ。
スキャンしたプリントの文字起こし(OCR)が必要な場合は、ピタッとレンズで透明テキスト付きPDFにしてから読み込むと、縦書きの自動判別も働きます。ほかのアプリとの全体像は「生成AIでDIY ウェブアプリマップ」にまとめています。
夏休みの宿題はこれでOK!だといいな。ワークブックはバッサリ裁断して、スキャナで読み込んでしまいましょう。
ワークショップのお知らせ
今年度はiPadワークショップを中央区のこどもクリニックで開催!。
Peatixページへ
GIGA端末がChromebookやWindowsの子どもたちも多いので、ピタッとレンズやとんとんレンズ、ひらがなキーボード、かみなりノートの使い方も紹介する予定。体験会が8月11日にあるので、ぜひきてください。
それでは、また。
じつは、もうひとつアプリを開発したのですが、これの公開はもう少し先。お楽しみに。
