合理的配慮を理解するために

秋は合理的配慮

こんばんは,平林です。寒くなりましたね。ブログの更新が久しぶりになりましたが,「合理的配慮」をテーマに書きたいと思います。

学びプラネットの合理的配慮連続講座(全4回)完結

先日,学びプラネットで7月から4回シリーズで実施してきました合理的配慮連続講座(全4回)が完結しました。

講師をつとめてくださった飯野由里子さんが毎回の講座で,ポイントをまとめて共有してくれました。これを読むだけでも参考になると思いますので共有します。

●第1回 合理的配慮の誤解を解く鍵は社会モデルにある〜視点が変われば社会的障壁(バリア)が見える
・合理的配慮を理解するためには「社会的障壁」と「社会モデル」を押さえる必要がある。
・なぜなら、障害者差別解消法の基本方針に次のように記されているから
「合理的配慮は(中略)社会的障壁を除去するための」もの
「合理的配慮は(中略)「社会モデル」の考え方を踏まえたもの」

●第2回 合理的配慮の昔と今〜歴史を学べば課題が見えてくる
・合理的配慮には意外と長い歴史がある
・障害者に対する合理的配慮では「物理的環境の調整」が焦点化されやすいが、歴史的に見ると「ルール・慣行の調整」 が重要
・日本の法律が禁止する差別の範囲は狭い
・合理的配慮は「大人」を前提にした仕組みになっている

●第3回 対話なくして合理的配慮なし〜建設的対話とは
・建設的対話とは、現状を「調べる」ために行う、情報のやりとりのこと
・「建設的対話による相互理解」にはあやうさもあるので注意が必要
・障害者差別解消法の改正により、建設的対話が少しだけ具体化されたが、まだまだ不十分

●第4回 合理的配慮だけでいいの?〜合理的配慮と環境の整備
・合理的配慮と環境の整備は、障害者差別をなくすための両輪
・環境の整備とは、不特定多数の障害者に向けて行われる事前的改善措置のこと
・障害者との関係が長期にわたる学校などでは、環境の整備を進めることが、学校の中長期的なコストの削減や効率化につながる

この4回の講座を通して聞いていただいた方はきっと,これまで難しいなと感じていた合理的配慮について,すっと点が線になってつながり,いろいろな事例に応用可能に感じられるようになったのではないかと思います。

講座の後から配信の申し込みは11月23日の23:55まで受け付けております。
https://atokara-reasonable-accommodation.peatix.com/

講座の参考資料として以下の2点をご紹介しました。なかなか動画を見る時間が取れないという方は,こちらをチラッとみていただくのもおすすめです。

【エッセイ】合理的配慮を理解する鍵は社会モデルにある(飯野由里子)

学校現場でよく見聞きされる誤解を取り上げながら社会モデルにもとづく合理的配慮理解のポイントを解説しています
https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/2003385

【ハンドブック】インクルーシブな学校作りハンドブック

大阪府吹田市の教育センター発行のハンドブックです。東京大学バリアフリー教育開発研究センターとの連携事業としておこなっている取り組みを紹介しています。インクルーシブな学校づくりのヒントがつまったハンドブックです。

https://www.p.u-tokyo.ac.jp/cbfe/project/activity-inclusive-education/

(このプロジェクトには学びプラネットも関わっており,このハンドブックの制作をしておりますので手前味噌ですが,ぜひみてみてください)

10月から1月にかけては,高校入試での受験上の配慮の話し合いが行われる時期

入試での合理的配慮に関する相談が増えてくる時期でもありますね。東京都は,都立高校を志望して受験場の配慮を希望する場合,中学校を通して申請書類を提出します。

東京都教育委員会のホームページ(>>こちら)によれば,

>都立高校への申請時期は、例年、12月中旬頃となっています(令和4年度入学者選抜では、令和3年12月17日までに提出としています。)。

とのこと,1ヶ月ほどで申請に関する回答が来るようです。都立高校の受験日は2月21日ですので,話し合いをしようと思うと1ヶ月しか時間がありません。(以前は10月末くらいに提出じゃなかったっけ?)

合理的配慮の提供は建設的対話による相互理解を通じてなされる必要があるのに,このスケジュールはなかなか厳しいですよね。このスケジュール自体が対話を難しくするのではないかと感じます。

合理的配慮として申請できるのは「実績のあるもの」という誤解

高校入試で受験上の配慮に関連する相談を受けていて最近多く寄せられいて,誤解を解かないといけないなと感じているのは,合理的配慮として申請できるのは「実績のあるもの」という誤解です。これは,実績のないものは申請してはいけないという意味ではありません。実績が必要なのは以下のような理由です。

・やったことがないことを受験の日にはじめてやるのは慣れていないから本人が大変

・配慮提供に必要な準備しようと思っても,やったことがないから準備がむずかしい

・やったことがないと,その方法でその人が経験している社会的障壁(バリア)を除去できるのかがわからない

合理的配慮に関する誤解が少しでもなくなるとよいなと思います。

それでは,また。

追伸:11月の学びプラネットセミナーは高校入試における合理的配慮をテーマとして行うことにしました。ぜひ,お越しください。

2023年11月26日10時から12時,Zoomによるオンラインイベント,参加費3500円
「高校入試における合理的配慮の誤解を解きたいセミナー〜子どもの学ぶ権利を守るために周りの大人に知ってほしいこと〜」 詳しくはこちら<<

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