44歳、まなプラ 4周年

こんにちは、平林です。44歳になりました。学びプラネットを始めて丸4年が経ち、9月1日から5期目を迎えました。このブログはいつ始めたんだったかなと調べてみると2017年7月7日でしたので7年目でした。

読み書きが苦手でも楽しく学べるということを多くの方に知ってもらいたいと思って、この活動を続けています。

学びプラネットでは月に1回程度,セミナーを開催してきました。4年間の開催回数は、46回。参加してくれた方の人数は、4,199名にのぼりました。ありがとうございます。

読み書きできなくても学べるということや、読み書きが苦手な子どもが不利益を被るのは社会の仕組みが偏っているからだということが、子どもたちやその周りにいる大人のみなさんに届いていたらよいなと思う反面、社会の中にある壁はそんなに大きくは揺らがないということも感じています。

先日、セミナーの際に障害のある大学生の統計を日英で比べたものを,最近の統計を参照して作り直してみました。

英国と日本における障害のある大学生の割合

英国の大学に通う学習障害のある大学生の割合は全学部生の6%(全障害学生の30%)、これに対して日本は0.0078%(全障害学生の0.005%)という衝撃の統計。なぜだと思いますか?そもそも日本は障害のある大学生の割合が著しく低いです。

社会の中にあるバリアを一つずつ明らかにして、認識していかなければいけないと思います。

日本の紙文化・手書き文化というのもこれがなかなか手強いです。特に、手書き文化は根強く、字が書けないと将来困るという言説は相変わらず教育界隈でたくさん耳にします。実際、学校では授業の最後に必ず紙に感想やまとめを書く時間があって、GIGAスクール構想によって1人一台タブレットが教室に入っていても,この慣習はびくともしません。大きな壁です。

高校入試や大学入試での受験上の配慮として、代読や代筆は認められる例が少しずつ増えてきました。代読・代筆(ICTを使うことももちろん含む)は、文字をベースとした試験方法です。

読み書きが困難な場合に、文字の読み書きを迂回する=代替するために文字を音声化したり、口頭で述べたことを筆記してもらうという配慮はあるものの、そもそもの文字をベースとした試験方法を変える、具体的には口頭試問という形で、口頭で質問されてそれに答えることができれば内容を理解していると評価される形式での配慮は日本ではほとんどみられません。

変更・調整の範囲が別の方法を用いて参加することは認めるけれども、そうした配慮をする目的は多数派である文字中心の世界に統合するため。そのような社会になっていると感じます。

何か新しいことを学ぶ時には情報をインプットしたり、アウトプットしたりすることが必要です。でも、目で見て読む・手書きで書くことが苦手だと、学ぶプロセスに手枷・足枷がついてしまいます。その手枷・足枷を軽減するためにタブレットが必要になります。目的は本人が一番やりやすいやり方で情報のインプット・アウトプットをすることです。

手書きでは学びにくい子どももいるということが学校や保護者の方に伝わり、タブレットの利用に前向きになってくると、次に現れるのはタイピングはローマ字入力ができた方が将来困らないのではないか?という言説です。

目的は本人が一番やりやすいやり方で情報をアウトプットをすることだとすれば、タイピングの入力するときにローマ字を習得することは重要ではないということがわかります。ブラインドタッチ、かっこいい、できるようになりたいという子がタイピングの練習をすることと、日々の活動でブラインドタッチを推奨することとは、文脈が大きく異なります。

「将来困らないように」というのが教育においては常に大事なテーマになっているようですが、将来のために今があるのではなくて、今の積み重ねがただ私たちの前にあるのだと思います。大人は、子どもが今・ココで楽に楽しく学ぶことができる方法を提案することが大切です。

4年前、新しく会社を作るならどんな名前にしようか夜な夜な考えていた時、学びプラネットという名前の他にもいくつか心の中に候補がありました。その時のメモを見返すと,「イマココ研究所」と書いてありました。子どもたちの今・この場所での学びをアクセシブルにする,楽しくするための活動をしたいと思っていて、今もそれは変わっていません。

ちなみに,「学びプラネット」は「学びのプラン&ネットワーク」という意味です。

4月から始めた学びプラネットの事業「まなプラキッズプログラム」には8月末までに16の個人・団体の方が参加してくれています。読み書きできなくても学べることを伝えるためのプランと、それを広げていくネットワークの活動です。

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まなプラキッズプログラムでは、毎月、ICTによる読み書きサポート勉強会があります。全国のいろいろな場所での取り組み,いろいろな工夫が共有される場になっていて、いつもパワーをもらっています。

今年もぼちぼち、コツコツ、うろうろ、楽しく頑張ろうと思います。

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