音声教材(電子教科書)を使い分けよう!

紙・音声ペン・タブレット

こんにちは,平林です。今日は「音声教材」についてです。

「音声教材」をご存知でしょうか。音声教材というのは音声で示される教材の総称ではなく,

「発達障害等により、通常の検定教科書では一般的に使用される文字や図形等を認識することが困難な児童生徒に向けた教材で、パソコンやタブレット等の端末を活用して学習する教材」のことです。

「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(教科書バリアフリー法)」に基づき、現在6つの団体が音声教材を提供しています。

詳しくは,文部科学省の音声教材のページをご覧ください。

注意
音声教材は教科書を使う子どもたちに配布されるものですので,教員や支援者が提供を受けることはできません。ですので,教員・支援者の方は保護者に情報提供をしたり,学校・教育委員会として一括で登録するなどして,必要な子どもたちの手に届くようにすることが大切です。

平林

今回は,わたしが普段,教科書を読むことが苦手で困っている子どもたちに紹介している3つの音声教材について,わたしのおすすめの使い分けを紹介します。

 

ペンでタッチすると読み上げる音声付教科書(茨城大学)

まずは,「ペンでタッチすると読み上げる音声付教科書」です。

http://www.udlte.or.jp/resource/publications/textbook.pdf

【問い合わせ先】
NPO法人テストと学習環境のユニバーサルデザイン研究機構
電話: 03-6909-9954
E-mail: ohsawa@udlte.or.jp

教科書の文字のところをペンでタッチすると,そこの部分を音声で読み上げてくれるペンです。紙の教科書と同じ見た目の教科書には見えないインクでコードが埋め込まれています。このコードをペンが読み取って,音声を出してくれるという仕組みです。現在は東京書籍と光村図書の国語の教科書のみの提供です。

教科書以外を読み上げるためには付属のシールに音声を録音しておいて,そのシールをペンでタッチすると読み上げられます。

左記,問い合わせ先にメールで利用申請手続きをして,ペンの自己負担5000円と送料を負担します。


マルチメディアデイジー教科書(日本リハビリテーション協会)

タブレットやパソコンに入れて使う音声教材。画面上の文字をタッチするとそこの部分を読み上げます。文字の大きさ・背景の色・文字の色など変更することができます。すべての教科の教科書を提供しています。

タブレットにアプリを入れて,申請後に公布されるIDとパスワードを入れると教科書のダウンロードができます。日本リハビリテーション協会のウェブページに詳しく記載されているのでウェブをご覧ください。


アクセスリーディング(東京大学先端科学技術研究センター)

タブレットやパソコンに教科書の電子データを入れて,それをタブレット・パソコンに備わっている合成音声で読み上げます。文字列は選択してそのまま辞書を引いたり,コピーしてノートに貼り付けたり,メモを打ち込んだりすることができます。

なお,アクセスリーディングは2019年9月より小学校の教科書の新規申請の受付を停止していることがウェブページに書かれております。小学校の教科書に関しては他の選択肢があること・教材の特性を鑑みて高校の教科書に注力するためとのことです。詳しくはこちらをご覧ください。

平林

それでは,使い分けはどのようにすればよいでしょうか。
音声教材の使い分けについて示した図
年齢が小さかったり(小1〜)・タブレットの操作に慣れていないかったり・みんなと同じ教科書の方が安心だったりする子どもたち

ペンタイプがおすすめです。見た目が通常の教科書と同じで,操作も簡単,ペンで文字をタッチすればそこを読み上げてくれます。ペンにはイヤホンを指すことができるので,教室で使う場合も周りに音声は流れません。

音声の活用に慣れてきて,国語以外の教科でも音声教材を使いたい・タブレットで教科書を使いたい子どもたち(小3〜)

マルチメディアデイジー教科書がおすすめです。全ての教科の教科書が使えます。低学年の国語の教科書は録音音声(人間の声)で作られているので,合成音声に慣れない場合も使いやすいです。

予習に音声教材を使いたい,テストでも音声読み上げを使いたい(中学〜)

アクセスリーディングがおすすめです。本文の中の単語を選択して辞書を引いたり,コピーしたりできるので単に教科書を音声で読み上げるだけではない使い方ができます。基本的に電子ファイルですのでフォントの種類や背景の色を見やすいものにかえられます。タブレットの合成音声で読み上げる方法ですので,この方法に慣れることで,中学校のテストなども先生に電子ファイルで問題をもらって自分で読み上げてテストを受けるという使い方に発展していくことができます。

平林

いろいろなタイプを試して,その時々で自分に合ったものを選んでいくとよいでしょう。
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