試してみるというアセスメントの方法

試してみるというアセスメントの方法

こんにちは。平林です。今日はアセスメントの話題です。

2017年6月10日にatacLabよりURAWSS-English(ウラウスイングリッシュ)が発売となりました。
[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”hirameki.jpg” name=””]祝,URAWSS-English発売!![/speech_bubble]URAWSS-Englishは中学生の英単語の習得状況を評価し,その上でどのような学習方法が向いているのか,音声読み上げとカタカナ表記という2つの方法を実際に試して比較することができるアセスメントツールです。

読み書きの困難さを軽減していくためには,どこにつまづいているのかを知ることはとても大切です。その際に,いろいろな評価が用いられるわけですが,東大先端研人間支援工学分野では一般的に行われる認知心理アセスメントだけではなく,”試してみるアセスメント”の重要性を検討しています。もちろん,認知心理学的アセスメントも大変重要ですので,それを軽視しているわけではありません。ただ,本人が困難を認識していない段階で個別の評価を行うことができるかといえば,それが難しい場合もあります。

そこで,アセスメントをしてから支援をするという重要で定番の方法から逆の発想をしてみます。それは,効果がある方法をまず試してみてその反応をみるという方法です。試してみてあまりよくないということであればそれは困難を軽減する方法としては適切でない可能性が高く,試してみてこれはよいという反応がかえって来ればそれは有効な支援方法なのです。

この発想は,アメリカでLDを判定する際に近年導入されているRTI(Response To Intervention)モデルに近い考え方です(RTIについては,また別の機会に詳しく解説したいと思います)。

URAWSS-English

URAWSS-Englishはそんな発想で作られた新しいアセスメントツールです。英単語に対応する日本の意味を回答するE→J課題(English to Japanese課題)と,日本語単語から英単語を回答するJ→E課題(Japanese to English)課題の二つの課題から構成されています。

E→J課題

E→J課題ではまず普通にApple→( りんご )

のような20問の英単語問題に答え,そのあと,20問の英単語を隣で読みあげてもらいながら,再び20問の英単語問題に答えます。つまり,ここでは英単語を見てわかる力と,聞いてわかる力を比べます。

J→E課題

J→E課題では,再び普通にもも→(  Peach  )

のような20問のスペル問題に答え,そのあと,その20問の英単語をひらがな・カタカナ表記で再度書かせるということをします。つまり,ここでは,英単語がスペルできる力と口述できる力(音としてわかっているか)を比べます。

説明を聞いてもよくわからないかもしれませんが,実際にやるとその意味がすぐにわかると思います。

最近は,英語の学習困難に関する相談がずいぶん増えています。英語の学習支援をどこからはじめようか,そんな悩みをもっていらっしゃる方は,URAWSS-Englishの”試してみるアセスメント”をぜひやってみてください。その先の支援に関しては,現在いろいろと取り組んでいるところですので,また別の機会に紹介したいと思います。

URAWSS-Englishについて詳しくは以下をご覧ください
URAWSS-English Vocabulary

村田美和・平林ルミ・河野俊寛・中邑賢龍(2017).
URAWSS-English Vocabulary(Understanding Reading And Writing Skills of Schoolchildren -English Vocabulary):小中学生の英語の読み書きの理解.東京:こころリソースブック出版会.(購入はこちらから)

 

 

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